理事長永冨 茂
近年、薬局薬剤師は「かかりつけ薬剤師」への変貌を強く求められています。これは,「患者のための薬局ビジョン」(平成27年10月23日付厚生労働省策定)において明確に示されており、薬局薬剤師は、今後、かかりつけ薬剤師、すなわち、患者・住民にとって真に必要な地域に密着した医療の担い手としての機能、役割を果たさなければなりません。具体的には、処方箋調剤は元より、服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導、一般医薬品の販売、健康相談への対応、健康づくりに関する情報提供、更には在宅医療への参入など、かかりつけ薬剤師に求められる機能、役割は多岐にわたることになります。
このように、これからの薬局薬剤師は、かかりつけ薬剤師としての育成が重要となるところ、地域密着という意味でも、これには地元出身者が望ましいことは言うまでもありません。
しかしながら、大分県内の大学には薬学部がなく、薬剤師を志す学生は県外の大学へ行かざるを得ません。そのため、在学中の経済的負担が増すことになります。また、そのまま県外に就職をし、大分県に帰ってこない学生もいます。出身に関係なく薬剤師不足という問題に直面している現状からしますと、ますますこの状況に拍車がかかることが予想されます。
そこで、大分県出身の優秀な人材に、薬剤師として大分県に戻り薬局薬剤師として活躍する道を選んでもらえるように、薬学部在学中の経済的負担を軽減して少しでも勉学に専念してもらえるように、という思いから、「永冨薬学奨学財団」を創設し、奨学金支給という形で支援を行うことにいたしました。
当財団は、当財団の奨学金を機に、大分県出身の薬学生に対し、大分県にある薬局で「かかりつけ薬剤師」として活躍し地域医療を支える人材となってもらうことを目的とし、ひいては、大分県に薬剤師が満たされ、地域医療の充実化に貢献できることを目指します。
今後とも皆様のご指導ご鞭撻を賜り、引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。